「失ってみて、初めて歯の大切さがわかった」
歯は単純に物を食べるためだけにあるのではありません。食事の際には食べ物を細かくして消化を助ける機能をもち、日常会話の滑舌にも関わっています。歯がなければ笑うことすらためらう方もいるかもしれません。
どの行為も、全身の健康と、人生の豊かさに大きくかかわる大切な要素です。
しかし、もし失った歯の代替として入れ歯(義歯)を使い始めた時、その入れ歯が合わなかったとしたら。美味しい食事も、楽しいお喋りも、気軽に笑うことすらできなくなってしまうかもしれません。
お口に合った入れ歯を使用することは、健康と人生の豊かさを保つ秘訣とも言えるのです。
入れ歯には、「総入れ歯」と「部分入れ歯」、そして「保険の入れ歯」と「自費の入れ歯」の違いがあり、使用できる素材や構造、使い勝手も様々です。
当院では、患者様のお口の状態をしっかりと診断・診査した上で、患者様のご希望を踏まえ、どのような入れ歯が合うかをご提案いたします。
●とにかく痛い!
初めて入れ歯を入れた時、数日間は痛みが出ることがあります。しかし、その痛みが何週間も続くようであれば、歯科医院での再調整が必要でしょう。
痛みの原因としては、かみ合わせの高さが合っていないことから、入れ歯の内側が歯肉に当たっているか、もしくは歯肉が痩せてしまったことで、入れ歯が安定しないなどの事が挙げられます。
合っていない入れ歯を無理に使用すると、擦れや圧力などで歯肉の血行が悪くなり、赤くただれたり、口内炎のような白っぽいものができ、強い痛みをともなう褥瘡性潰瘍(じょくそうせいかいよう)に繋がります。
どのような場合でも、痛みが強くなる前に歯科医院で入れ歯の調整をおこないましょう。
●うまく喋れない!
入れ歯を使うようになってから、喋りにくい、人に何度も言葉を聞き返されるとお悩みの方がいるようです。
普段私たちは、口から出る空気の流れを舌や唇などで調節して様々な発音をしています。入れ歯を入れることで舌や唇が動きづらくなったり、お口の中の様子が変わってしまうことで、これまでと同じ方法では発音がしづらくなることがあります。上顎の入れ歯なら「サ行」「タ行」が、下顎の入れ歯の場合「ナ行」「ラ行」がうまく言えなくなることが多いようです。
これまで何も入っていなかったお口と比較すれば、入れ歯は大きな異物とも言えます。発音に関しては、お口周りの筋肉の発達も関係してきます。まずはらずに、入れ歯の存在に慣れることが大切です。そして、歯科医師と相談の上で、発音のトレーニングなどを続けていきましょう。
どうしても気になるという方には、厚みが薄いためにお口の中に入れても比較的違和感が少ない金属床の入れ歯をおすすめしています。
●頭痛や肩こりが出るようになった!
お口に合わない入れ歯を使用し続けた場合、顎の骨の位置やかみ合わせが狂ってしまうことがあります。顎の骨やかみ合わせの歪みは、身体全体に影響を及ぼします。頭痛や肩こりや腰痛、膝痛、手足のしびれなどの症状が出たら、合わない入れ歯が原因かもしれません。ひどくなる前に、一度歯科医院で入れ歯の調整をおこなうことをおすすめします。
●食事が美味しくない!
普段の生活は問題ないのに、物をかもうとすると入れ歯が当たって痛かったり、固いものを食べようとすると入れ歯がずれてしまう場合には、入れ歯が合っていないことが原因に考えられます。
よくかめないということは、食べ物を細かく砕くことができず、消化器官に負担をかけることになります。消化器の不調から次第に固い食べ物を避け、柔らかいものばかりを食べるようになれば、身体が本来もつかむ力は衰え、かむことによる大脳の中枢神経への刺激も減って、脳の働きが衰えることも考えられます。
入れ歯での食事には、入れ歯に適した食べ方というのも存在します。歯科医院で入れ歯のかみ合わせの調整をおこない、入れ歯に慣れていくことが必要です。
保険診療で製作できる義歯は、使用できる材料や治療法に制約があり、保険では基本的にレジン(プラスチック)を使って製作します。
レジンで義歯を製作すると、耐久性を得るためにある程度の厚みが必要となります。そのため、お口の中に入れた時の違和感や、熱の伝わり方が遅く、食感を感じにくいといったデメリットがあります。また、部分義歯の場合はクラスプ(金属のバネ)で義歯を支えることになり、どうしてもバネがお口の中で目立ってしまいます。
保険の義歯の最大のメリットは、「費用がかからない」ということです。また、噛むという基本的な機能については他と変わりありません。
●保険の部分義歯
連続した歯を失った場合、欠損した歯の数が多くブリッジができない場合には、部分義歯を使用することになります。歯が1本だけ抜けた場合から、歯が一本しか残っていない場合まで対応可能です。
保健で製作する部分義歯は、床(土台)の部分にレジン(プラスチック)を使用し、クラスプ(金属のバネ)で周囲の歯を支えにして固定します。床をレジンで製作するため、厚みをある程度確保せねばならず、お口に入れた時に違和感が出ることがあります。バネをひっかける歯をしっかりとケアをすることが長持ちの秘訣です。
●保険の総義歯
全ての歯を失ってしまった場合には、歯肉(顎堤)で義歯を支える総義歯を使用します。保険で製作する総義歯も、レジンで製作することから耐久性の問題で厚みを確保する必要があり、お口の中に入れた時に違和感があることがあります。また、下顎の総義歯は厚みがあるために食感を鈍く感じたり、熱いスープを飲んだ時に熱さが伝わらず火傷をすることがありますので、注意が必要です。
保険にあるような制約がなく、材料や製作方法を自由に選べることが自費の義歯の最大のメリットです。
選べる選択肢が増えたことによって、より患者様のご希望に応じた義歯を製作することができます。
●金属床義歯
保険ではレジンで製作していた床の部分を金属にしたのが金属床義歯です。強度の高い金属を床に使用することで厚みを減らし、お口の中に入れた時の異物感を軽減しています。使われる金属の素材は、コバルトクロムや白金加金合金などから、最近ではチタンも使われるようになりました。金属を使用しているため割れにくく、金属の熱伝導性により熱い食べ物の熱をお口の中でより感じやすくなっています。レジンと違い吸水性がないため、汚れも付きにくくお手入れがしやすい義歯です。
●金属床部分義歯
床に金属を用いたパーシャルデンチャ―(部分義歯)です。金属床の総義歯と同様に、金属を使用することで強度を高めて厚みを減らし、お口の中の違和感を軽減しています。歯が1本だけ抜けた場合から、歯が一本しか残っていない場合まで対応可能です。
使用する金属も予算・目的に合わせてお選びいただけます。
【丈夫さ】★★★★★
【快適さ】★★★★★
【熱の伝わり】★★★★☆(4.5)
【アレルギーのなさ】★★☆(2.5)
【軽さ】★★★
【丈夫さ】★★★★★
【快適さ】★★★★★
【熱の伝わり】★★★★★
【アレルギーのなさ】★★★★
【軽さ】★★
【丈夫さ】★★★★★
【快適さ】★★★★★
【熱の伝わり】★★★★★
【アレルギーのなさ】★★★★★
【軽さ】★★★★★
●磁性アタッチメント義歯
【丈夫さ】★★★★★
【快適さ】★★★★★
【熱の伝わり】-
【アレルギーのなさ】★★☆(2.5)
【軽さ】-
※金属床で製作した場合。
●ノンクラスプ義歯
【丈夫さ】★★★★
【快適さ】★★★★
【熱の伝わり】★★★☆(3.5)
【アレルギーのなさ】★★★★★
【軽さ】★★★★
●コンフォート義歯(シリコン義歯)
【丈夫さ】★★★★
【快適さ】★★★★★
【熱の伝わり】★★☆(2.5)
【アレルギーのなさ】★★★★★
【軽さ】★★